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人間の脳のなかには、感情を調節し、感情の波をある程度一定に保つ機能があります。躁うつ病の場合、それらの調節機能がうまく作用しなくなり、感情や欲求にさまざまな障害が生じます。ただし、脳に器質的変化は認められません。
躁うつ病では、特徴的な2つの病相:「うつ病相」と「躁病相」が、正常な状態である中間期をはさんで交互に繰り返されるのが一般です。
●うつ病相・・・気分が落ち込み、何事に対しても憂うつ感にとらわれやすくなる状態が続く期間。
●躁病相・・・気分が高揚し、自信に満ちて、行動が活発化する状態が続く期間。
躁うつ病では、これらの2つの病相が「交互に現れる」のが一般ですが、単にうつ状態だけの場合や、逆に躁状態だけが単独に発病する場合も、「躁うつ病」に含んで考えます。そのため、交互に現れるものを「双極型躁うつ病」、単独にどちらか一方だけが現れるものを「単極型うつ病」あるいは「単極型躁病」といいます。ただし、躁状態だけが単独で現れる「単極型躁病」は稀で、最初は躁状態の症状が現れるのですが、そのうちうつ状態が現れ、結局、「双極型躁うつ病」となることから、純粋に「単極型」なのは、「単極型うつ病」が多くを占めます。したがって、「単極型」というとき、たいてい「うつ病」だけをさしてそう呼びます。
●発病年齢
躁うつ病の発病年齢(初めて現れる年齢)は、20歳代が最も多く、さらに幼い子どもの場合は大人がチェックしてみている必要があります。次に30歳代となります。型別には、20歳未満での発病は、双極型が多く、30歳以後に発病した場合は、単極型うつ病が増えてくるようです。
躁うつ病では、躁状態またはうつ状態が、正常な状態である中間期をはさんで周期的に繰り返されます。気分が落ち込み、思考力が低下、活動意欲も低下、さらに身体的にも不眠や肩こりといった自律神経系の障害を訴えることが多い「うつ病相」(うつ状態の期間)に対し、躁病相(躁状態の期間)になると、次のような症状が顕著になります。みなさん自身、あるいはみなさんの大切な人について、該当する症状はないかチェックしてみてください。
躁病相の症状:爽快感に基づき気分が高揚し、行動が活発化します。表情もいきいきとして、あらゆることに対して自信と希望に満ちてきます。新しいアイデアが次々と浮かんでくるのですが、誇大妄想的になり、アイデアが空回りしているようにみえます。
躁状にある時には、活動力が活発になり常に何かをしていないと気が済まず、じっとしていられません。そのため睡眠時間は減少するのですが、うつ状態のときにはそれを「不眠」として訴えるのに対し、躁状態にあるときは、本人はあまり気にしていません。食欲や性欲も高まります。
躁うつ病の場合、「躁病相」と「うつ病相」という2つの典型的な症状が交互に繰り返されるのが一般ですが、うつ状態と躁状態が部分的に混合した症状が現れることもあります。
躁うつ病では、躁状態にせようつ状態にせよ、これといった決め手となる、診断の根拠となる身体的な症状がないことから、診断は、精神症状あるいは経過から判断することになります。
ある期間持続する一定の病状を「病相(びょうそう)」といいます。躁うつ病では、躁状態またはうつ状態が起こっている時期(それぞれ躁病相とうつ病相といいます)が、正常な状態である中間期をはさんで周期的に繰り返されます。
うつ病相の症状、躁病相の症状と、それぞれありますが、まずはうつ病相の症状についてチェックしてみます。
●うつ病相の症状・・・悲哀感が症状の中心となります。気分が落ち込み、いつもゆううつな表情を浮かべています。全体的に活気のなさが目立ちます。
さらに、思考能力の停止(物忘れ、考えがうまくまとまらない)や、何もしたくない、考えたくないという活動意欲の低下なども目立ちます。自殺願望が生じる危険があるので、周囲の人は注意が必要です。うつ状態にある人に対しては、「がんばれ」という激励はかえって逆効果を招くことがあります。身体症状としては、自律神経系(じりつしんけいけい)の障害(頭痛、肩こり、食欲不振、便秘、めまい、手足のふるえなど)を訴えることがしばしばあります。最も多いのは、不眠です。特徴的なのは、早朝覚醒(そうちょうかくせい)といって、朝早くに目覚めてしまう症状です。
たとえば、あるうつ病の症例の場合、診断の3か月前から、憂うつ、食欲不振、焦燥感、不眠、胃腸障害、頭重(ずおも)(頭が重く感じられる症状)などが見られました。特に午前中は特に症状がひどく、夕方になると気分は回復する、といったように1日のうちでも変動がみられました。